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【保存版】ラーメン店の海外進出完全マニュアル|成功する国別戦略と失敗回避のコツ

こんにちは、丸尾です。
16年間の飲食店経営を経て、現在は「フレンチラーメン」という少し変わったラーメンブランドでフランチャイズ展開をしています。

最近、ありがたいことに「どうやって海外展開してるんですか?」という相談をよくいただきます。
ラーメンの海外進出はチャンスに満ちている一方で、日本の成功モデルがそのまま通用しない難しさもあります。

今回は、僕たちがインドネシア・台湾・タイなど複数の国で実際に経験してきた「成功と失敗」をもとに、
“現場目線”で海外展開を成功させるためのリアルな戦略をまとめました。

すでに出店を考えている方も、これから情報収集をしたい方も、何かヒントになるはずです。
※ノウハウを網羅的にまとめた「完全保存版」なので、ブックマークしておくのがおすすめです!

目次

【現状分析】ラーメン海外進出が注目される理由とは?

ラーメンは今や世界的な人気食となり、海外市場での大きなビジネスチャンスが広がっています。グローバルラーメン市場は2023年に250億ドル規模に達し、2030年までに年平均成長率6.2%で拡大すると予測されています。

しかし、多くの日本発ラーメンブランドが海外市場で苦戦しているのが現実です。

私は飲食店経営を16年行い、現在はフレンチラーメンという新ジャンルのフランチャイズ本部を運営する丸尾と申します。当社のブランドはこれまでにインドネシア、台湾、タイなど複数のアジア市場に展開し、海外でも月商1,500万円を超える店舗を実現してきました。

この記事では、実際の成功事例と失敗例から学んだ、ラーメン店が海外市場で成功するための具体的戦略をお伝えします。

【成功の秘訣】ラーメン海外展開で必須の5大戦略

誰でも作れる仕組み化がカギ!職人依存からの脱却

日本のラーメン店の多くは「職人の技術」に依存したビジネスモデルです。これが海外展開における最大の障壁となります。

成功事例:インドネシア・ジャカルタ進出

先日、私たちのブランド「フレンチラーメン」はインドネシア・ジャカルタに初進出しました。人気ショッピングモール内のフードコートに出店し、当初は店内にわずか8席のみで、メインエリアから少し離れた立地でした。

ところが蓋を開けてみると、初日から予想を大きく上回る来店があり、長蛇の列ができる事態に。スタッフは全員が現地採用で、ラーメン作りも日本式の飲食オペレーションも初めてという状況でした。

この状況を乗り切り、オープン直後から月商1,500万円を達成できたのは、「職人に依存しない」システム化された仕組みがあったからです。
誰でも同じ品質のラーメンを提供できるよう、すべての工程を標準化・マニュアル化していたことが成功の鍵でした。

海外市場で売れる味とは?現地文化を活かした商品開発

「日本と全く同じ味を提供する」という姿勢は、実は成功の妨げになることがあります。

教訓事例:台湾での経験

台湾での展開では、当初、日本で人気のあるブランドをそのままの形で展開しようとしました。しかし、現地の食文化と合わず苦戦しました。

たとえば、日本では高級食材とされる「鯛」が、台湾では特別な食材として認識されていませんでした。現地パートナーは「このブランドのままでいきたい」と主張しましたが、結果は芳しくありませんでした。

その後、現地の嗜好に合わせてブランドを切り替え、サーモンなど現地で人気のある食材を使用したメニューを開発したところ、状況は好転しました。

成功のポイント:

  • 現地の食文化を徹底的にリサーチする
  • 味の基本は守りつつも、現地の嗜好に合わせた調整を行う
  • 例:台湾では塩分濃度を0.3%ほど下げる調整を実施
  • インドネシアではハラール認証を取得し、イスラム教徒(人口の90%)にアプローチ
  • 各国の人気食材や調味料を取り入れたオリジナルメニューの開発

成功の裏にパートナーあり!現地企業との連携術

海外展開において最も重要な要素の一つが、信頼できる現地パートナーの存在です。

私たちが現地パートナーに求める最大の要素は、その地域のマーケットを熟知していることです。どれだけ日本で成功していても、海外の市場環境は全く異なります。

例えば、インドネシアのパートナーは、ハラール認証の取得プロセスに精通しており、現地のイスラム教団体との交渉を円滑に進めてくれました。これは日本人だけでは非常に難しい課題でした。

また、台湾のパートナーは現地のSNSマーケティングに長けており、オープン前から効果的なプロモーションを展開してくれました。

パートナー選びで重視すべき点:

  • コミュニケーションが円滑に取れること
  • 現地の飲食市場に精通していること
  • 行政手続きや許認可に強いこと
  • 価値観や事業目標が一致していること
  • 長期的な関係構築を重視していること

コストと品質を両立!現地調達&物流最適化のポイント

海外展開で見落とされがちなのが、食材調達と物流の問題です。

すべての食材を日本から輸入するのは、コスト面でもロジスティクス面でも現実的ではありません。当社の方針は「スープの素のみ日本から輸出し、それ以外の食材は現地調達する」というものです。

これには複数のメリットがあります:

  • 輸送コストの大幅削減
  • 新鮮な地元食材の活用による品質向上
  • 現地サプライヤーとの関係構築
  • 為替変動リスクの低減

例えば、麺は現地の製麺所と協力して開発しました。日本と同じ製法を教えつつ、現地の小麦粉を使用することで、コストを抑えながらも品質を保つことができました。

成功のポイント: コアとなる味の要素(当社の場合はスープのベース)は日本から供給し、その他の食材は現地調達するハイブリッドアプローチが最も効果的です。

属人化を防ぐ!誰でも再現できる教育・マニュアル体制

海外展開の大きな課題の一つが、現地スタッフへの技術とホスピタリティの伝達です。

当社では「70点の合格ライン」という考え方を基本にしています。どんな場所や環境でも確実に「70点」という一定水準を超える品質を提供するためのシステムを構築しています。

現地スタッフ教育で効果的だった方法は以下の通りです:

1. 視覚的なマニュアル: 文字だけのマニュアルは特に言語の壁がある海外では読まれません。写真や動画を多用し、「正解」と「不正解」を明確に示したビジュアルマニュアルを作成しました。

2. 数値化と標準化: 「少々」「適量」といった曖昧な表現は排除し、すべての材料と工程を数値化しました。例えば、「塩は8.5g±0.3g」「湯温は95℃±2℃」など、明確な数値で指示することで、言語や文化の違いを超えて品質を統一できます。

3. 「なぜ」を教える: 単なる指示だけでなく、「なぜそうするのか」の理由を説明することで、理解度と定着率が大幅に向上します。

成功事例: 台湾の店舗では、日本で研修を受けた現地スタッフが、わずか2週間で日本人シェフと遜色ないクオリティを実現しました。この教育システムがなければ、何ヶ月もかかっていたでしょう。

国別市場特性と進出戦略

海外展開を考える際には、国ごとの市場特性を理解することが重要です。私たちの経験に基づいた各国の特徴と戦略を紹介します。

ハラール対応が鍵!インドネシアで成功する戦略とは

市場特性:

  • 人口約2.7億人(世界第4位)の巨大市場
  • 人口の90%がイスラム教徒(ハラール対応必須)
  • 平均年齢が27歳と若く、SNSの影響力が非常に強い
  • 日本食への関心が高く、特に高級感のある日本食が人気

成功戦略:

  • ハラール認証の取得(競合の日本ラーメン店では取得していないところが多い)
  • 現地で人気の高いサーモンを使用したラーメンの開発
  • インフルエンサーマーケティングの徹底活用
  • ショッピングモール内の好立地確保

結果: 予想を大幅に上回る集客を達成し、当初の月間売上目標の5倍を実現。インドネシアの有名インフルエンサーや地元セレブリティが来店し、SNSで拡散されたことで爆発的な人気となりました。

味の調整とブランド選定がカギ!台湾ラーメン戦略

市場特性:

  • 親日的で日本食文化への理解が深い
  • ラーメン激戦区で日本の有名店も多数進出
  • 味の好みが日本より淡白
  • 店舗の回転率よりも滞在時間を重視する傾向

成功戦略:

  • 塩分濃度を日本より0.3%低く調整
  • 現地で人気の食材を活用したオリジナルメニュー開発
  • 店内装飾やブランドストーリーに日本の要素を強調
  • ブランドを複数展開し、どのブランドが最も受け入れられるかテスト

教訓: 当初は日本で人気のブランドをそのまま展開しようとして苦戦しましたが、現地の嗜好に合わせた新ブランドに切り替えることで状況が好転しました。柔軟性と迅速な軌道修正が重要です。

辛味文化にマッチ!タイで人気を獲るラーメン戦術

辛味や濃い味付けを好む傾向

観光産業が発達しており、観光客と地元客の二つの市場がある

食事をSNSでシェアする文化が発達

食事の際の会話を重視し、ゆっくり食べる傾向

戦略:

  • 日本のオリジナルメニューと現地向けのスパイシーバージョンを並行提供
  • 写真映えする店舗デザインとプレゼンテーション
  • 現地の人気調味料(ナンプラーなど)を一部取り入れたアレンジメニュー
  • 複数ブランドのテスト展開による市場検証

現状: まだテスト段階ですが、現地パートナーと共に複数のブランドを試験的に展開し、どのブランドが最も受け入れられるか検証中です。

【要注意】ラーメン海外進出でありがちな4つの失敗と対策

多くのラーメン店が海外展開に失敗している原因とその対策をご紹介します。

失敗例1: 「日本と同じ」へのこだわり

多くのラーメン店が「本場の味をそのまま」という姿勢で失敗しています。日本の店舗で使っている食材が現地で手に入らなかったり、あっても非常に高価だったりすることがあります。また、現地の水質や気候の違いで、同じレシピでも味が変わってしまうことも。

対策:

  • コアの味は維持しつつ、現地調達可能な食材で代替レシピを開発
  • 現地の水質に合わせた調整機能をシステムに組み込む
  • 現地の人々の味覚を尊重し、一部調整を許容する柔軟性

失敗例2: 不十分な市場調査

「日本で人気だから海外でも」という安易な発想で進出し、現地のニーズや競合状況を把握していないケースが多くあります。

対策:

  • 出店前に最低3ヶ月の現地調査期間を設ける
  • 競合店を実際に訪問し、客層や価格帯、人気メニューを分析
  • テストマーケティングとして、ポップアップストアやイベント出店を実施

失敗例3: 不十分なローカライゼーション

メニューやマーケティングを現地化せず、日本語のままのメニューや日本向けの販促物をそのまま使用するケースがあります。

対策:

  • 現地語でのメニュー・説明書きの充実
  • 現地のSNSプラットフォームに合わせたマーケティング戦略
  • 現地の祝日や文化的イベントに合わせた季節限定メニュー

失敗例4: 現地スタッフへの過度な期待

日本のサービス基準をそのまま求め、現地の労働文化や習慣を考慮しないケースがあります。

対策:

  • 現地の労働習慣や文化を尊重したトレーニングプログラムの開発
  • 段階的な教育と明確な評価基準の設定
  • 現地スタッフのリーダーを育成し、彼らを通じたトレーニング体制の構築

【まとめ】ラーメン海外展開を成功させる3つの原則

海外でラーメンブランドを成功させるための3つの原則をまとめます:

1. システム化を徹底する

職人依存から脱却し、誰でも同じ品質を提供できるシステムを構築することが海外展開の基盤です。これにより、現地スタッフのみでの運営が可能になり、持続可能なビジネスモデルを確立できます。

2. 「適応」と「固守」のバランスを取る

コアとなる価値や品質基準は固守しつつも、現地の文化や嗜好に適応する柔軟性が必要です。ラーメンのアイデンティティを保ちながら、現地の人々に愛されるブランドになるための絶妙なバランスを追求しましょう。

3. 長期的なパートナーシップを築く

海外展開は単なるビジネス展開ではなく、文化交流でもあります。現地パートナーとの信頼関係を長期的な視点で築き上げることが、持続的な成功の鍵となります。

海外でのラーメンビジネス展開は、多くの挑戦を伴いますが、適切な準備と戦略があれば大きな成功を収めることができます。この記事が皆さんのグローバル市場挑戦の参考になれば幸いです。

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